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風と緑とあじさいと。―Vayu, Vana, Ajisai ca―

あじさい寺の非公式ブログです。

月の一族

 

こんにちは。

 

先日は、春霞で水まんじゅうみたいな、ぽよんとしたお日の出でした。

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みかん味

 

可愛いです。

 

美味しそうです。

 

でもこれ、実は写真の中でしか見られませんでした。

というのも野僧は寝坊をしてしまったからです。

 

嗚呼、実際はどんなおまんじゅうだったんでしょうか。

 

ということで本日は、日の出についてのお話です。

 

日本では、初日の出やご来光を見るなど何かと太陽とご縁が深いですよね。

初日の出は神道の、ご来光は仏教の考え方です。

 

初日の出は名前の通り初ということで、一年の最初の日である元旦に太陽が昇ることをさしています。

神道では、豊作の神様である歳神様が初日の出とともに降臨すると考えられていたことから、初日の出を祝うようになったと言われています。

 

一方、仏教のご来光というのは、高い山から見た日の出のことをさします。

そのため元旦に限らず、明日見ようが、半年後に見ようが、高い山から日の出を見ればご来光を見た、ということになります。

 

ちなみに、お正月に富士山の山頂から日の出を見る方がいらっしゃいますよね。

元旦に富士山から日の出を見るというのは、初日の出でもありご来光でもあるので、大変縁起が良いと言われています。

 

 

では、なぜ仏教では高い山から見る日の出をご来光と呼び、拝むようになったのでしょうか。

 

色々な説がありますが、一つには、太陽が地平線から昇る様子をお釈迦様が光を背負って来迎する姿に重ねていたと言われています。

たしかに、インドのお釈迦様図などを見てみると、お釈迦様の後ろから光がさしているものが多いです。

 

これは、お釈迦様の体から発せられる光明を視覚的に表したものとして光背(こうはい)、後光(ごこう)などと呼ばれています。

 

オーラみたいなものでしょうか。実際に光があるわけではありませんが、そのように見えるみたいな感じです。

インドでは、本当にしっかり修行した人は光を発しているという考え方があるそうです。

あの人後光がさしてる…!!とかよく聞きますよね。

 

光を放つお釈迦様がやってくるということで、「ご来迎」が転じて「ご来光」という言葉になったと言われています。

 

もう一つには、高い山から日の出を見ると、ブロッケン現象と呼ばれる現象が起こることがあります。

 

このブロッケン現象というのは、太陽の光が後ろからさして、自分の影が雲に映った時、影の周りに丸い光輪が現れるというなんとも幻想的な現象なのですが、これと関係があるのではないかと言われています。

 

たしかに、このブロッケン現象で雲に映った人影と、後光がさしているお釈迦様と、似ているような気もします。

 

昔の人は、この雲に映った人影をお釈迦様と重ねていたということでしょうか。

さすが、想像力が豊かですね。

 

そしてこの、ブロッケン現象って素敵ですね…!

野僧はあまり知らなかったのですが、感動いたしました。

 

個人的には、人影よりも飛行機の影の方が好きです。笑

 

また、ご来光と直接関係があるかは定かではありませんが、関係があるのではないか?と言われている説がございまして、ここではそちらも一つご紹介したいと思います。

 

話はまたまた、古代インドまで遡ります。

 

古代インドの王族は、プラーナ文献という当時の聖典において日種(にっしゅ)と月種(げっしゅ)という二つの系統に分けて整理されていたそうです。

 

サンスクリット語で日種はスーリヤ・ヴァンシャ、月種はチャンドラ・ヴァンシャといいます。

 

日種の始祖は、インドの王族で伝説のアヨーディヤー王イクシュヴァークという人です。

プラーナ文献によると、この初代イクシュヴァークさんは、太陽神ヴィヴァスヴァットの孫にあたり、その子孫が太陽の一族、すなわち日種といわれるようになったと言われています。

 

古代インドの大長編叙事詩『ラーマ―ヤナ』の主要人物であるラーマやシーターらもこのイクシュヴァークさんの末裔であると言われています。

 

ラーマーヤナ!シーター!!という感じです。

 

ラピュタ族はかなり前から存在していたんですね…

 

また、「ピッパラ樹」の回で、仏教の開祖はゴータマ・シッダッタという釈迦族の王子だった、というお話をしたと思います。

 

この釈迦族も、イクシュヴァークさんの末裔で、日種であったと言われています。

 

このことから、仏教では開祖であるゴータマさんとゆかりのある太陽を拝むようになったのではないか、とも言われているんですね。

 

なるほど……

 

想像以上に果てしないお話でした。

 

しかし、この辺りのお話は仏教界でもまだまだ研究途上だそうです。

これからどんな仮説が出てくるのか、楽しみに待ちたいと思います。

 

ちなみに、皆さんは日種と月種、属すならどちらが良いですか?

 

野僧は月種がいいです。月の一族、ってなんかロマンチックですよね。笑

紺色のマントを着た、ミステリアスな一族なのかなと勝手に思っています。

 

文献上で分かれていた 、ということでしたが、どんな感じで分けられたのでしょうか。

 

 「君は明るくて笑顔が素敵だから、太陽の一族ね。」

みたいな感じでしょうか。

 

また、ご来光は朝が早くて大変ではありますが、やはり高い山から日の出を見る、というのは意外と感動します。

 

地平線からおひさまが顔を出して、光がぱぁーっと広がる瞬間が、野僧は結構好きです。

もし機会があれば、ぜひ見てみてくださいね。

 

では、本日の仏教のお話はここまでです。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

合掌。