こんにちは。
お寺には、誰も使っていないボロボロのベンチがございます。
野僧は先日、このボロボロのベンチに座ってひとり、
「Laughter」という曲を聞いていました。
澄んだ青空と、綺麗な雲と、遠くの森と、自由に飛び回っている鳥たちと
そして
これ以上ないくらい美しい音楽に感動して、気づいたら涙が出ていました。
「Laughter」なのに、泣いちゃったよ…
と思いつつ、
この歌の主人公も、泣いたあとのキラキラした目で笑っていそうな
感じがしました。
素敵ですね…。
さて、ということで本日は、このボロボロのベンチについてのお話です。
こちら、本当にボロボロなんですが、ボロボロだからこそ?というか、ボロボロである所以なのかは分かりませんが、苔がたくさんついています。
こちらの苔は、「ウメノキゴケ」というお名前で、ウメノコちゃん。と呼んでいます。
梅の木によく生えるからウメノキゴケ、だそうです。
彼らは、木々が弱っている時につくものであり、
決して、彼らがついたから木が弱る、というわけではないとのことでした。
そして、彼ら自身もまた弱い存在だそうで、
排気ガスが苦手で、綺麗な空気のある場所でないと、生きられないそうなのです。
そのため、これらが生えている場所は、空気がキレイということで、
なんだか褒めてもらっているんだか、
汚されているんだか、
よくわからないなと思いました。
でも、彼らがついているということは、その木の成長が止まっている、あるいは衰退しているサインなので、何らかの方法で、木々を助けた方が良いかも!とのことでした。
なるほど…
ウメノキゴケ、灰色で、くねくねしていて、一見悪い子のように見えますが、
そうでもない、ということですね。
疑ってしまって、すみませんでした…。
また、調べてみると、
ウメノキゴケはコケという名前がついていますが、実は
菌類(キノコ)と藻が共生関係になっている植物なのだそうです。
この少しだけ入っている藻が光合成を行ったり糖分を作ったりすることによって、
菌類もその栄養をもらって生きることができるそうで、
へええ…と思いました。
たしかに、言われてみるとマイタケっぽい要素もあるような…
という感じです。
ちょっとはがして、ミキサーにかけたり発酵させたりすると、
染料にもなるそうで、
影は薄いけれど、素敵な植物なんだなということが分かりました。
やっぱり、普段何気なく通り過ぎているベンチや、樹木についてる苔にも、色々な秘密があるんですね。
今回のボロボロのベンチについてしまっているウメノキゴケはそのうち取ってしまうかもしれませんが、
はるばるこんなところまで、どうもありがとうございました。長旅お疲れ様でした。
と伝えたいです。
ということで、本日は、ボロボロのベンチからの苔のお話でした。
ちなみに、
ボロボロのベンチの上で聞きたい曲、というジャンルをいざ真面目に考えてみると、ちょっと難しいですね。
ボロボロのベンチに座りたい気分な時、というのは
ボロボロな自分に浸りたい時と、
ボロボロな自分から抜け出したい時とがあって、
それぞれ聞きたい曲も変わってくるような気がします。
後者の場合、「僕はきっと旅に出る」とかも、きっと爽やかで、素敵な時間になりそうです。
これからも色々な曲を聞きつつ、このベンチに座る時間を楽しみにしたいなと思いました。
では、本日のお話はここまでです。
最後まで読んでくださり、誠にありがとうございました。
合掌。